ESSAY

ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化のバランス

会話の切り口は国によってもだいぶ傾向が異なる・・というのが海外5カ国以上の国に住んだ感想です。

人によってそれぞれとはいいますが、

「この手の質問はこの国だとよく耳にするなあ」

なんてこともやはりあります。

”集合体にすると傾向が見えてくる”というやつですね。(←統計用語。)

ハイコンテクスト文化というのは、コミュニケーションにおいて共有されている感覚や価値観が多いため、多くを語らなくても理解し合える文化のコト。

日本では、

『以心伝心』や

『空気を読む』

なんていいますね。

もともとは、アメリカ人の文化人類学者であるEdward T. Hall さんのBeyond Cultureという本から始まった言葉のようです。

Beyond Culture

ホールさんによると、日本はハイコンテクスト文化ですが、一方でドイツやアメリカやスカンジナビアはローコンテクスト文化とのコトです。

以心伝心。というのは素敵な言葉ですが、

それは根底には共通の価値観や感覚があるからこそうまくいく現象で、

それが全く通じない文化もあるというコトですね。

多様性がある文化においては、例えばバスのお隣に座った人が

どんな背景を持った方かわからないというのが日常茶飯事で、

『勝手に推測せずにまずは相手をしっかり知ろう』

という感じで会話が始まります。

気をつけないといけないことも、たくさんあります。

ドイツなどでも、少し会話が弾むと、最初から一応一通りのインタビューを受ける感じで色々細かい質問をされるコトがよくあります。

もしかしたら、ハイコンテクストと言われる日本の人にしてみたら

「え、ここから話さないといけないのね?」(・_・?) 

というくらい

ちょっとtoo muchな尋問に聞こえるであろう質問攻め。

中には、感度の高い人もいて、

「ドイツではね・・・」

「私はね・・・」

「まあ君はどうかわからないけど・・・」

なんてディスクレーマー(=注意事項)をつけながら話したりしています。

「推測は失礼」と思う優しさと気配りがあるからこその質問。その確認作業がありがたいです。

(そして海外では、それをやっておいた方が安全・・というのもあります)

一方で、日本の人には、もしかしたら

「え、これ言わないとわかんない??」(・_・?) 

「なんか、一つの発言に文章多めじゃない??」(・_・?) 

なんて感じたりする方もいるかもしれません。

ハイコンテクスト文化が可能にしている

高い共感力や以心伝心、

思いやりやチームワークなど

実はなかなか他の国では見られない良さはたくさんありますが、

今後、多様性が進む世界では、

珍しい現象になっていくコトが予想されますね・・

「察する」コトが懐かしいくらい

以心伝心は終わりを迎えてしまうのでは・・・と感じられる

グローバル化のスピードの速いこと。

一方で、ハイコンテクスト文化というのは便利な反面、

共通点が多すぎることへの弊害というのもたくさんあります。

多様性の多いグローバル社会では困難な壁にぶつかるコトもあるかもしれません。

例えば、『違い慣れ』していないことからくる、

異なることへの他人への異常な好奇心

違わないよね?という先入観による話し始めや

「当然でしょ」という違いを意識してない期待からくる感情

さっき会ったばかりの人を「いい人だよね」と簡単にジャッジしてしまう近さ

多様性が多くなるにつれ、

自分の基準を他人の中に持ち込もうとしてしまうことが

リスクになってくるかもしれません。

これからの時代は、そんな

ハイコンテクスト文化と

ローコンテクスト文化を

上手にスイッチオン・オフしながら切り替えていける

器用さとバランスの良さが求められるのでは、

と旅をすればするほど感じられます。

#ふわっとエッセイ

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