フランス北東部にある、ナンシーという街をご存知ですか?ドイツにも近いフランスの中規模都市として有名ですが、ここナンシーには世界遺産があります。
また、アールヌーヴォー(アールヌーボー)の発祥地としても有名なナンシーは、今もまだその開花の面影を残す街並みをしています。
今回は、まだ訪れたことがないという方に、ナンシーの楽しみ方をご紹介したいと思います!
目次
アールヌーヴォーとは?
アールヌーヴォーとはフランス語で”art nouveau”と書き、直訳すると”新しい芸術”という意味です。
19世紀末から20世紀初めにかけて、ここナンシーをはじめとするフランスで花開いた芸術への動きで、特にパリやスペインのバルセロナなどで盛り上がりました。
主に建築にその手法が見られ、花や草木、植物などの自然をモチーフに自由な曲線を使って美しい装飾が施され、一目でアールヌーヴォー時代のものとわかる様式になっています。
また、鉄やガラスなど、当時では新しい素材とされたものが使われているのも特徴的です。
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ナンシーのプチ情報
1871年の普仏戦争後に合併したムルト=エ=モゼル県(Meurthe-et-Moselle)の首府。細長い形をした県で、この県の3分の1は森だそうです。
普仏戦争のあとに、ドイツに併合されるのを望まなかった近隣県民がフランス領のロレーヌに移住し、ナンシーが中心となって多数の知識人が流れ込み、黄金時代を迎えました。そこで、前述したアールヌーヴォーの動きが生まれました。
知識人が集まるところにはトレンドが生まれるというのが当時の常識であり、芸術の動きでした。ガラス工芸で有名なエミール・ガレもナンシー出身ですね。
世界遺産のスタニスラス広場
ナンシーの中心となるのが、この美しい門に囲まれたスタニスラス広場。4方向から入れるようになっています。
世界遺産に登録されています。
広場に入る前から凛とした気品を感じますが、これもアールヌーヴォー建築によく見られる様式です。そこら中に金が散りばめられているロマンチックな模様の柵は、なんだかヴェルサイユ宮殿に来たかのようです。
門をくぐると、広場の中心まで石畳が続きます。
両側には可愛らしいお店が立ち並び、その可愛さにちょこっと入ってみたい気持ちになります。ランプや飾り看板など何気ない街のインフラアイテムがどれもきゅんとくる可愛さ。
広場を堪能したらこの広場のカフェで一息しようと心に決めてまずは散策。
広場の真ん中にはスタニスラス公の銅像が建っています。
角には黄金の門と言われ、ロココ様式の黄金に輝く門が広場を守っています。
案内本には鉄柵とあるので、当然純金ではなさそうですが、強い輝きがあり、まるでロココ時代にタイムトリップしたかのようです。
鉄は、アールヌーヴォー時代には新素材とされ、アールヌーヴォー建築に使われ始めたのが特徴的です。
この広場は、フランス王ルイ15世の義父にあたるロレーヌ公のスタニスラスが18世紀に作らせたもので、現在は市庁舎、凱旋門、美術館に囲まれています。
アールヌーヴォーの発祥地を存分に感じることのできる広場はまさに圧巻です〜!
カリエール広場とアリアンス広場
カリエール広場は、スタニスラス広場を出て北側にある細長い広場で、門構えがとてもエレガントで広場の両脇には美しい木々が立ち並ぶ並木道となっているのですぐにわかります。
絵になる門とランプと、まっすぐに続く並木道。
雨上がりにちょっと晴れ間が出てきた時のシャッターチャンスをねらってパシャり。向こう側はロレーヌの官邸です。
街を歩くと、色が一色なのに気づきます。こんな淡いベージュの建物に囲まれて、頭が整理されたところでクリエイティヴィティが発達したのかなあなんて思いを馳せながら街歩きができるなんとも美しい美術館のような景色です。
アリアンス広場も広場の東側の細い道を入ったところにあります。
ノートルダム大聖堂とバジリカサンテプヴル教会(Basilique Saint-Epvre)
ノートルダム大聖堂は、そのパイプオルガンと天井のクーポラ、その壁画がとても美しかったです。
内部の装飾にもアールヌーボーの面影があり、静寂ながら華美さを感じます。曲線は癒されます!
中に入ると、受付の人が親切に話しかけてくださり、パイプオルガンの説明資料を渡してくれました。
パイプオルガンも豪華な作りです。見上げて口が開いたままになりそう!
サンテプヴル教会にも行ってみました。写真には入りきらないくらい高くそびえるシャープな塔が本当に美しく、広場に負けない存在感がありました。
残念ながら閉まっていて中は見れませんでしたが、19世紀に再建されたゴシック様式で、外観はゴージャスな作りです。
一度訪れるのをオススメします。
広場のカフェでロレーヌ地方の名物を
数時間散策した後は、当初から気になっていた広場にあるカフェ Le Petit Jean Lamでお茶をしてみるのもおすすめです。
広場を見ながら美味しい郷土料理もいただくことができます。
フランスでよく見かけるpied de cochon(ピエ・ドュ・コッション)は少し酸味がありました。
また、ロレーヌの名物といえばミラベルのタルト(tarte aux mirabelles de Lorraine)です。ミラベルはロレーヌ地方の特産の小さなプラム(スモモ)で、あまり酸っぱくなく甘さがある美味しいタルトです。
お散歩と食事でゆったりした午後を過ごせるナンシーの街。美しい広場と教会にたっぷり時間をかけ、慌ただしくない観光スポットに浸れるのはとても贅沢な時間です。
まとめ
フランス北東部にはあまり行ったことがないという人も多いかもしれませんが、ナンシーはアールヌーヴォーの発祥地であり、世界遺産がある美しい街です。当時の知識人の芸術復興の動きに思いを寄せながら、ヴェルサイユ宮殿のような美しい広場を、一度見に訪れるのも良いでしょう。
アルザスの可愛らしい街に行った帰りやルクセンブルクから足を伸ばしてみるのもオススメです。
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