日本で一時帰国中に困るのが、連絡手段である。
いつもは、海外で買ったiPhoneを使っている。今でこそ日本にもWifiが駅やカフェにも常備されてきたが、少し前まではWifiがある場所も少なかった。
少し便利になり、外出中も主要な駅で所々携帯をチェックできるようになったけれど、それでも駅やカフェを一歩出たら海外の携帯を使う事はできなくなり、常に前もって待ち合わせ場所や時間などの約束をしておかなければならない。
日本のSIMカードを買うという手もあるが、なんとなくiPhoneのSIMカード入れの開け閉めが面倒くさすぎるというどうしようもない理由で、そこに至っていない・・。
結果、一時帰国中は多くの犠牲を払っている。
毎回、一時帰国時は友人たちとはわりと前もって約束をして待ち合わせる事が多いので、外出先で携帯が必要になる事は少ないけれど、先日、ちょっと必要になる出来事があった。
東京駅で用事を済ませ、待ち合わせの場所に向かおうとしていたら、友人から連絡があり、もしメッセージを見る機会があるのであれば待ち合わせ場所を変更して欲しいとの事。東京駅にはWifiがあるので、ちょうどメッセージを見る事ができ、
「オッケー!」
と気持ちよく返事をした。
待ち合わせ場所は普段あまりいかないような場所にあったため、タクシーで行く事にした。カーナビはあるだろうから住所だけ覚えていれば大丈夫だし、あとは念のため駅で事前にグーグルマップで確認して、大体の行き先の地図の全体像をスクリーンショットで撮って、よし完璧と思い、タクシーを探した。
親切そうなおじさまが運転するタクシーに乗り混み行き先を告げると、「はい、わかりました」と言ってスーっと走り出した。
日本のタクシーって綺麗で爽快、と気持ちよく窓の外を見る。久しぶりに見る東京の景色を携帯で写真をとったりしていた。
「東京タワーきれいですね〜」と、
もはや外人。
しばらくすると、運転手さんが、
「大体の場所はわかるのですが、ちょっとどこか具体的にわからないんですよね」
と言って、幾つか目印になる場所を聞いてきた。
ふむ。全くわからない。
前もって取っておいた写メには目印らしい目印はなかったなあと思い、
「あ、あのお伝えした住所のところで結構ですので」
と言うと、
「このナビ壊れていてねえ・・」と言う。
・・・ (゚o゚;;
「あ、そ、そうなんですね・・・」
と言うと、
「ちょっと調べてくれないかな」
と聞かれた。
え。
うん?
私?
どうやって?
Wifiなんてないよね・・?
と心の中で思い、
「あ、あの私、携帯持ってなくて」
と言ってしまった。
正確には持っているけれど、「海外の携帯で」とか「一時帰国中で」とか「今どこの国に住んでて」など、色々説明しなくてはいけないのが面倒だったのと、その後に質問攻めになるなあと一瞬頭をよぎってしまい、とっさにそう答えてしまったのだ。
と、そこで気づいたが、手にはしっかりiPhoneを抱えていた。
・・・黙。
はい、さっき、写真をバシバシ撮りまくっていました。
すかさず、
「あ、あの、これ、動かないんです。」
と伝えた。
運転手さんが、
「え、あ、そうなの?」
という。
・・・黙。
変な沈黙が流れる。
嘘じゃないのに、すっごく怪しい人になっちゃったよ・・・(T_T)
挽回しなくてはと次に出た言葉は、
「そういう機能、今ちょっと、なくて。」
・・・。
ああ、言葉足らずなワタシ(泣)
すると、一瞬間をおいて、運転手さんが、
「私もですよ!私もまだガラケーなんです!」
と嬉しそうにタクシーを走らせながらガラケーの携帯を取り出して
鏡越しに手にもって見せてくれた。
(私は違うけどー!)
「ガ、ガラケーなんですね。」
どうやら鏡越しで携帯の種類なんて見えないらしく、私もガラケーの類を持っていると思われてしまったようだ。仲間意識を持ってくれたらしく、最後は、住所と目印があればナビがなくてもスマホがなくても普段の生活ではじゅうぶんという会話の流れになった。
面倒くさすぎて最初の説明を端折ってしまったばかりに、結局ガラケー派のアラサー女子という感じのまま目的地に着き、タクシーを降りた。
教訓。
日本で携帯を持ってないと、不便です!