文化的なこと

縦軸と横軸で物事について考える

最近時間の流れを感じることがよくある。

年を取るとはこういうことなのか、世代間の違いというのがとても気になるようにもなってきた。

なんだかたいそうなタイトルをつけてしまったが、縦軸とはつまり世代間の違い。

これまではヨーロッパと日本やアジアなどの東西の比較が自分や自分の周りにいる人たちの会話のトピックになることが多かった。いわば横軸でのみ物を考えていたのかもしれない。

ところが年をとるにつれ、そしてこれまでにないくらい早い時代の移り変わりを感じるにつれ、世代間ギャップの方が、東西のギャップよりも大きいんじゃないかというくらい、違いを感じるようになってきた。

新たなテクノロジーも次々に開発され、携帯持ってないなんて許されない雰囲気もある現代では、若者とお年寄りではコミュニケーションも表現方法もだいぶ異なる。

もちろん自分は時代について行っている方だとは思うけれど、ついていけなくなってしまう人もいるだろうし、その時に疎外感を感じてしまうのは想像がつく。

ただ、ここで小難しい時代の流れを解説したいわけではない。

横軸で見ていた世界が、縦軸に見えてしまっている今日この頃、自分の発言も、他人の発言の感じ方も、徐々に変わってきてしまったように思うのだ。

先日、ヨーロッパにいる知り合いのミッドフォーティーの日本人おじさまと会話していたら、「最近の若者はマイペースだし、今までの価値観が通じない」と嘆いていた。ゆとり教育が始まった時に学校に行っていた人たちは今や30代になろうとしている。20代前半の人たちなんてまた別の世界観もあるだろう。「若者が新人類論」を語りたかったのかもしれないが、なんとなく頭の中は「おじさま世の中についていけてない論」に聞こえてしまっている自分。

そしてこの間、日本から知人がヨーロッパに出張に来た。日本でバリバリ働く20代キャリア男子さん。「日本のおじさんは頭固いですよね」と、現代日本社会の生きづらさを憂いていた。「そうですね」というと「え、ヨーロッパでも感じますか?」と驚かれた。そりゃね、飛行機に乗れば人柄変わるわけじゃないからね、全てが解決するほど甘くはないのよ。

と少々斜に構えた見方をしている自分が一方でいながら、

とはいえ、遠いヨーロッパにいる私には少し他人事でもあるが、

日本の社会現象なんだなあと縦の時代の変化を感じていたところ、

別の機会に、ドイツ人の友人から

「日本人ははっきり物を言わないから、突然怒り出すんだよね」

と聞かれた。

まあ、今更だけど、この手の質問は本当に多いので、もう慣れている。だいたいは、そういうカテゴリーにはめ込みたいか、その論理を固く信じているので、どんなにそうじゃない人もいると言っても聞いてくれない人か、純粋に日本というものに触れたことがないから本当に知りたいと恐る恐る聞いているか、に分かれる。前者は何を言ってもあまり効果がないので、いつも適当に流しながら答えるけれど、後者には割と丁寧に、一般論と個人的な意見を混ぜて説明したりもする。

でもこの時ばかりは自分の頭の中に時代の流れという縦軸が出来上がっていたので、なぜか真面目に、どっちの日本人だろうか?頭の固いおじさん?またはマイペースな若者?と考えてしまった。

どうやら彼としてはどっちの世代でも良いみたいだった、というよりは世代間の違いなんて気づかないほどに、東西の違いに意識がいっているようだった。

困るなあ、そういう曖昧なの。となぜか勝手に学者肌的な几帳面な思考回路になっている自分がいた。

でも私の知る限り、そのドイツ人の友人自身がわりといつも突然怒り出していたようにも思うので、深く考えるのはやめた。

そんなこんなで、なんだか縦軸と横軸と、きちんと定義してから質問してもらわないと、どれについて話せばいいのかわかりづらいなあともやもやした感覚になっていた。

そして、ついこの間、日本人の友人に、

「LARAってマイペースだけど、ゆとり世代?」

と聞かれた。

ゆとり世代も何も、その時日本にいなかったので、そういった教育を受けてないものの、かなりゆとりのある教育をヨーロッパで受けていたのでゆとり世代っぽい雰囲気を十分に醸し出しているし、実際問題ゆとり教育を受けているのかもしれない私。でも日本にいたとしてもゆとり世代よりは上なので、そこの世代ではない。違うっていうと勝手にマイペースになった人みたいに聞こえるしなあ・・と、

シンプルな質問なのにもかかわらず、

これは西と東の横軸と、世代間の縦軸の違いが両方かけ合わさった、

斜めクロスのテーマだろうか?なんて

短い時間の中で瞬時にぐるぐると考えが巡る。

そして口から出た言葉は、

「私はもう、縦にも横にも、違うので・・」

それを聞いた友達。

「縦にも、横にも?」

とはてな顔をしている。

上記のような説明をごっそり省いて、

友人を煙に巻いてしまった。

説明足らずなワタシですが、でも実は、これは、

脳内は几帳面がゆえにの現象なのです・・

この場をお借りして、縦と横の説明でございマス。

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