ESSAY

もしかして外国の方ですかと聞かれる *エッセイ*

日本に一時帰国する時は必ずヘアサロンに行くことにしている。日本のヘアスタイルはおしゃれだし、なかなか海外でそのおしゃれなスタイルをやってもらえるところは見つからない。

ヘアサロンでしてもらえるマッサージもトリートメントもとても気持ちいい。頭がすっきりするので疲れも取れる。

ということで、恒例の、ヘアサロン巡りをすることになった。だいたいお気に入りの行きつけのサロンはあるのだが、混んでいたり、たまには違うお店を開拓したくなることもあり、新しいサロンを試すことも多い。

先日も、新しいサロンに行ってみた。若いおしゃれな男性のスタイリストさんが髪を切ってくれることになった。

「担当させていただきますxxです。本日はどのようなスタイルにいたしましょうか」

と言って、髪の毛をチェックし始めた。

「クセ毛強いんですね。髪の毛は染めてらっしゃるんですか」

と聞かれ、

「いえ、染めてないんです。クセ毛は昔から強くて。」と言うと

「だいぶパサパサされているみたいなんですが、トリートメントされてますか」

と聞かれたので、

「しているのですが、普通にシャワー浴びると、ゴワゴワしてしまって」

と言うと、

「え、シャワーでですか」と言う。

ヨーロッパは硬水で、髪がすごくパサついてしまう。でも、なんか説明が面倒くさくて、

「・・・そ、そうですねえ。」

とだけ答えてみた。

スタイリストさんは、へえ、と言って、髪を引き続きチェックした後、

「では、始めます」と言って、シャンプーをした後、髪を切り始めた。

おもむろに、会話が始まる。

日本のヘアサロンは、わりと気を使って多岐にわたる話題を提供してくれると思う。

芸能ネタに興味があるとわかったら芸能ネタに合わせてくれるし、スタイリストさんの生活や地域の気になるショップ情報を教えてくれることもある。または、向こうからこちらの仕事などについて聞いてくることもある。

持ってくる雑誌の種類で、スタイリストさんにすでにどんな興味があるタイプなのかジャッジされていると感じることがあるが、読んでいるページや、仕草、持っているものからでも会話の糸口を探してくれているのではないか感じる時もある。いわば気配りの宝庫である

スタイリストさんが最近の芸能ニュースについて話し始めた。

「xxxさん、離婚しましたね」

私は、例のごとく知らなかった。

「え、あ、そうなんですね」

と言うと、スタイリストさんが

「あ、ご存知ないんですね。結構有名ですよ」

と言う。

「あまり芸能ネタ詳しくなくて」

と、いうと、そうなんですねと言ってさらっとその離婚について説明してくれた後、自然に会話を変えてくれた。

「この近くに美味しいxxのお店があるんですよ」

と言った。最近日本の若者の間でブームのスイーツらしい。

私は、知らなかった。

「そうなんですね」

と言った。

・・・黙。

多分、ノリが悪いと思ったはず。そんなことないんだけど。申し訳ない。

「あまり、雑誌とか見られませんか?」

と聞かれた。

鏡の前には、さっさと読み終えたファッション雑誌が3冊。興味はしっかりあるだろうよ、って多分思われている。

・・・黙。

「いえ、まあ、興味はあるのですが、時間がなくて」

と言うと、

「お仕事は何をされているんですか?」

と聞く。

「サラリーマンです」

と言うと、

「年末はいつからお休みなんですか?」

と聞かれた。今日は年末近くとはいえ、週の真ん中水曜日。

何をしているこのサラリーマン、という状態。

「クリスマスの前の週あたりからですね」

というと、

「へえ、結構お休みがあるのですね」

と言う

あまり突っ込んで聞かれないので、優しさを感じる。ほっ。

海外在住でといえばいいのだろうが、やはりどこまでも面倒臭がりの私、

一旦説明を始めたら、あれもこれも話さないといけないと思うと、

ここは何が何でも日本在住のアラサーサラリーマンとして適当に

終えたいと思ってしまう。

なんか盛り上がらなくて申し訳ないなと思っていたら、ラインのスタンプについて話し出した。

スタイリストさんの知り合いがイラストレーターでスタンプを作りたいと話しているそうだ。

「ラインのスタンプ何を使ってますか?」

と聞かれた。

「あの、ラインは、使っていないんです・・」

と言った。

今はさすがにダウンロードしたが、当時はダウンロードもせず「スタンプ」の意味も知らなかった。日本に友達少ないし、海外ではwhatsapp(ワッツアップ)というチャットツールで事足りるのだ。

「えっ」とスタイリストさんはテーブルに置かれた私のiPhoneをちらっと見た。

しっかり最新のiPhoneを持ちながら、ラインを使わないアラサーサラリーマン女子。さぞ強い信念の持ち主だと思われたかもしれない。

・・・黙。

ノリ悪すぎる。ごめんよお。色々知らないのよ。。

そして、ついに、

「・・・もしかして、外国の方ですか?」

と聞かれた。

ハイ、見つかってしまいました

「あ、いえ、でも、海外に住んでいて・・・」と少しずつ話し始めた。

そうだよね、会話全然噛み合わないしね。

なんか、私も質問されるたびに緊張するし、

さっさと海外組ですって開示すればよかったのかも?って思わなくもないですが。

日々、面倒くささと、冷や汗のでる緊張感との葛藤です。

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